2026年2月27日
■ はじめに
毎年この時期になると、くしゃみ・鼻水・目のかゆみに悩まされる方が多くいらっしゃいます。日本人の約4割がスギ花粉症を有するとされており、まさに「国民病」と言える疾患です。今回のコラムでは、2026年春の花粉飛散状況、今シーズンの治療の考え方、そして来シーズンに向けた根本的な対策である舌下免疫療法についてお伝えします。
■ 2026年春の花粉飛散状況
・今年は「多い年」です 。
日本気象協会の予測によると、2026年春のスギ・ヒノキ花粉飛散量は、関東を含む東日本では例年より多く、昨年と比較しても大幅に増加する見込みです。2025年夏の日照時間が長く高温が続いたことで、スギの雄花が大量に形成されたことが主な要因です。全国的にも9割以上の地域で大量飛散(3,000個/cm²以上)が予測されています。
・飛散時期の見通し
東京では2月14日に飛散開始が確認されました。スギ花粉のピークは3月上旬から3月中旬の見込みです。その後、ヒノキ花粉が3月下旬から4月上旬にかけてピークを迎えます。3月にかけて寒暖差が大きくなるため、急に暖かくなる日は花粉飛散量が一気に増えることが予想されます。
■ 今シーズンの花粉症治療
花粉症の治療は大きく分けて「セルフケア」「薬物療法」「重症例への特殊治療」の3つに分けられます。
1. セルフケア ― まず花粉を体に入れない
花粉症対策の基本は、花粉への曝露を減らすことです。
外出時:マスク・花粉症用メガネの着用
帰宅時:玄関先で衣服を払い、手洗い・洗顔・うがいを行う
室内:窓の開閉を最小限にし、空気清浄機を活用する
洗濯物:飛散量の多い日は部屋干しにする
これらの基本的な対策だけでも、症状の程度を軽減することができます。
2. 薬物療法 ― 早めの治療開始がカギ
花粉症の薬物療法では、症状が本格化する前から内服を始める「初期療法」が重要です。飛散開始の1~2週間前から抗アレルギー薬を服用することで、シーズン中の症状のピークを抑える効果が期待できます。
当院で処方可能な主な薬剤は以下のとおりです。
第2世代抗ヒスタミン薬(内服):くしゃみ・鼻水に効果的です。眠気の少ないタイプを中心に、患者さんの生活スタイルに合わせて選択します。
ロイコトリエン受容体拮抗薬(内服):鼻づまりが強い方に有効です。抗ヒスタミン薬との併用も可能です。
鼻噌霧用ステロイド薬(点鼻薬):鼻症状全般に高い効果があり、ガイドラインでも推奨されています。
抗アレルギー点眼薬:目のかゆみ・充血に対して使用します。
飛散量の多い年は、前年と同じ薬では十分にコントロールできないことがあります。「市販薬では効きが悪い」「例年より症状がつらい」と感じたら、薬の見直しをご相談ください。症状や重症度に応じて、薬の組み合わせを調整いたします。
■ 来シーズンに向けて ― 舌下免疫療法のご案内
・花粉症を「体質から」改善する治療法
毎年の花粉症に悩まされている方に、ぜひ知っていただきたい治療法が舌下免疫療法です。これは、スギ花粉のアレルゲンを少量ずつ体内に取り入れることで、花粉に対する免疫反応を穏やかにし、アレルギー症状そのものを軽減する治療法です。対症療法(薬で症状を抑える)とは異なり、アレルギー体質の根本的な改善が期待できる唯一の治療法です。
・治療の概要

・治療効果
臨床試験の結果では、治療を受けた方の約8割に症状の改善が認められています。そのうち約2割の方では症状がほとんど出なくなる(寛解状態)ことも報告されています。1年目から効果を実感できる方も多く、継続するほど効果が高まります。
一方、約2割の方では十分な効果が得られないこともあり、効果の予測が難しい面もあります。治療開始前に、メリット・デメリットを十分にご説明いたします。
・開始時期に関する重要なポイント
舌下免疫療法は、花粉が飛散している時期(おおむね1月~5月)には開始できません。花粉飛散期はアレルゲンに対する体の反応が過敏になっているため、安全性の観点から、治療開始は6月頃から12月頃に限られます。
つまり、来シーズン(2027年春)に向けた治療は、今年の花粉シーズンが終わった後の6月以降が開始のチャンスです。早く始めるほど、翌春に効果を実感できる可能性が高まります。
・当院での舌下免疫療法の流れ
初回受診:問診と血液検査(スギ特異的IgE抗体の測定)を行い、適応を判断します。
治療開始日:院内にて初回投与を行い、30分間の経過観察をいたします。
2回目受診(約2週間後):副作用の確認と維持量への増量を行います。
以降:月1回の通院で処方を継続します。
※現在、薬の供給が一時的に不安定になっているとの報道もあります。治療をご希望の方は、早めにご相談いただくことをお勧めします。
■ まとめ
2026年春は東日本を中心に花粉飛散量が多い見込みです。例年以上の対策が必要です。
今シーズンは、早めの薬物療法とセルフケアの徹底で症状のピークを抑えましょう。症状がつらい場合は我慢せず受診してください。 毎年花粉症に悩まされている方は、今年の6月以降に舌下免疫療法を開始することで、来シーズンからの症状改善が期待できます。
当院では、花粉症の診断から治療、来シーズンに向けた舌下免疫療法のご相談まで対応しております。お気軽にご来院ください。
