心不全
〒367-0030埼玉県本庄市早稲田の杜2丁目1番1号
0495-71-4781
心不全

心不全(しんふぜん)とは、病名ではなく「状態」を指す医学用語です。
何らかの原因で心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な血液を十分に送り出せなくなった状態を指します。
心不全は「急に発症するタイプ(急性心不全)」と「徐々に進行するタイプ(慢性心不全)」に分かれます。一度診断された心不全は、進行を抑えながら付き合っていくことが重要な慢性疾患です。
心不全の原因にはさまざまなものがあり、最も一般的なのは高血圧や心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症、不整脈などです。これらが心臓のポンプ機能を低下させ、全身への血液供給が不十分になることで心不全が発症します。また、糖尿病や腎疾患、先天性心疾患、ウイルス感染症なども発症リスクを高めます。
心不全の進行度はステージ(分類)によって表されます。代表的なのはニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類で、Ⅰ度からⅣ度まで分けられています。Ⅰ度は日常生活に制限がない状態、Ⅱ度は軽度の身体活動で症状が現れるが安静時は無症状、Ⅲ度は軽い運動でも症状が出て日常生活に支障がある状態、Ⅳ度は安静時にも症状が認められる重度の段階です。また、最近ではA~Dの4段階(ステージ分類)も用いられ、Aはリスク因子のみで心機能は正常、Dは治療抵抗性の末期心不全と定義されます。
急性心不全とは、心臓が突然、全身に十分な血液を送り出すことができなくなり、短期間のうちに呼吸困難や浮腫(むくみ)、血圧低下などの症状が急速に現れる病態を指します。慢性的に進行する慢性心不全とは異なり、急性心不全は数時間から数日の間に、急激に生命を脅かす状態に陥るのが特徴です。
急性心不全は、心筋梗塞や重度の不整脈、急激な高血圧、心臓弁膜症の急性悪化、大量の体液負荷など、さまざまな急性の心臓疾患や全身状態の変化によって引き起こされます。急性心不全は、心臓のポンプ機能が突如として低下し、全身の血液循環が維持できなくなることで、呼吸困難やショック状態を引き起こす緊急の病態です。迅速な診断と治療が、生命予後に大きく影響します。
慢性心不全の治療は、症状の進行を抑え、生活の質を維持・向上させることを目的とします。具体的には、原因疾患(高血圧、心筋梗塞、心臓弁膜症など)の治療が重要です。薬物療法としては、ARNIやACE阻害薬やARBs、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、利尿剤などが用いられ、心臓への負担を軽減し、余分な水分の排出を促します。近年ではSGLT2阻害薬など新しい薬剤も導入されています。
また、患者の状態に応じて塩分や水分の制限、適切な運動療法、体重管理などの生活習慣改善も不可欠です。重症例では心臓再同期療法(CRT)や植込み型除細動器(ICD)、さらには心臓移植が検討される場合もあります。治療は個々の状況に応じて最適化され、定期的なフォローアップと早期の増悪サインの発見が重要です。
当院では、循環器専門医による心不全の診療を行っています。
以下のような症状やお悩みに対応可能です。
急性悪化の兆候がある場合には、地域の基幹病院と連携して迅速な入院対応ができる体制を整えております。
心不全は「治る病気」ではありませんが、「うまくつきあうことができる病気」です。
早期発見・適切な治療・日常の管理を行うことで、生活の質を保ちながら長期的に安定した経過を得られることが多くあります。
「少し階段がきつくなった」「むくみが気になる」「年齢的に心配」といった些細な変化でも、お気軽にご相談ください。
心臓の専門家として、あなたの健康を長く支えるお手伝いをいたします。
TOP